そこで今回は、ガントチャートの特徴やメリット・デメリットをご紹介したのちに、その作成方法について見ていこうと思います。
目次
ガントチャートとは?
ガントチャートとは、プロジェクトの進捗を可視化するためのグラフです。プロジェクトに紐づくタスク、担当者、期限などをまとめて管理することができます。

写真のように、エクセルやスプレッドシート、その他のツールでつくることのできる横棒で表される管理表のようなものです。横棒のグラフには、開始日と完了日や、どれくらいの期間で終わるのかなどの情報を書いておきます。その左側には、タスクの名前や担当者などを書いておくのが一般的なガントチャートの体裁です。
ガントチャートが使われるようになった背景
ガントチャートが使われるようになった背景には、ウォーターフォールという手法が生まれてきたことが挙げられます。ウォーターフォールとは、プロジェクトをいくつかの工程に分けて、前の工程を終えたら次の工程へと、作業が滝のように流れていくイメージが由来となっています。プロジェクトを進めていくうえでトラブルはつきものです。従来の手法では、責任者が誰なのか、プロジェクトの進捗状況はどのような状態にあるか、などが明確化されず、プロジェクトが破綻してしまうこともしばしばあったようです。それを防止するための方法として、ガントチャートの利用が進められてきました。
いつガントチャートを使うか
ここまでで簡単にガントチャートについて確認することはできましたが、実際いつガントチャートを使えばいいのでしょうか。
当然ですが、プロジェクトを管理する時です。プロジェクト管理といっても、その有り様は様々です。例えば、工事の工数管理やサイトのリニューアル、サービスのローンチ時など、これら全てが言葉を変えれば「プロジェクト管理」と言うことができます。ガントチャートは、ゴールが決まっているプロジェクトを管理する際に有効で、仕事の見える化など、作業をよりスムーズに進めるサポートツールとなります。反対にゴールが決まっていないもの、例えば、広告のオペレーションなど、プロジェクトというよりは同じ作業の繰り返しをする場合は、ガントチャートを使う必要性はあまりないと言えます。
ガントチャートを使うタイミングとしては、ゴールが決まっているものに対しての工数管理をしたいときです。しっかりと覚えておきましょう。
ガントチャートの由来は?
個人的にとても不思議に思っていたのは、ガントチャートという名前です。チャートというのは、グラフなどを使っているので、理解することができました。ただガントというのは全く聞いたことがなかったので調べてみることにしました。
ガントチャートの由来は、アメリカのヘンリー・L・ガントに由来していることがわかりました。またガントチャートが使われるようになったのは、元は第一次世界大戦の影響があります。第一次世界大戦に参入するにあたり、軍艦を作成するプロジェクトにコンサルタントとして参加した際に、独自に開発したガントチャートを用いて効果的にプロジェクト管理をしたことで評価をされました。そしてガントの死後、ガントの部下が「The Gantt Chart」という本が出版され、次々にガントチャートが使われるようになり、結果としてウォーターフォールという開発手法の定着にもつながっています。
参考:https://www.itmedia.co.jp/im/arctiles/0512/14/news108.html
ガントチャートを利用するメリット
さて次にガントチャートを使うことによるメリットについてみていこうと思います。
プロジェクト全体の可視化につながる
基本的にプロジェクトは一人では進めることはありません。一人で進める場合であれば、タスク管理ツールなどで代用は可能です。プロジェクトはチームで進めるため、チームメンバーそれぞれの動きや進捗の把握が必ず必要になります。ガントチャートを作成する中で、どのタスクはだれがやるのかまでを作成の段階で作ってしまうことで、責任者の確認もすることができます。とにかくガントチャートを一目見れば、プロジェクトがどのフェーズまで進んでいるのかを簡単に確認できる、プロジェクト全体が可視化されるのが一番の大きなメリットとも言えます。
問題点や遅れの共有ができる
ガントチャートを作ることで、問題点が生じたときや遅れを即座に確認することができます。通常であればマネージャーなどがカバーするケースが多いですが、ガントチャートを見ることで、情報の共有ができるようになるので、チームメンバーがカバーに入ることもできます。プロジェクトを最後まで遂行させるために、チーム一丸となって取り組めるようにもなれるのも良いですね。
マネージャーの負担が減る
マネージャーの負担が減ると表したのは、ガントチャートを使わずにプロジェクト管理しているマネージャーに比べて負担が減るという意味です。通常であれば、見えてきたタスクを人に振り分けて、遅れていないかもチェックするのもマネージャーの仕事です。ただガントチャートを作ってしまえば、タスクの振り分けがすでに完了しているので、フォローに多くの時間を割くことができます。とはいうものの、普段からマネジメントに追われているマネージャーにとっては、負担が減るといっても微々たるものにしかならない可能性もありますね。
ガントチャートを使うデメリット
反対にガントチャートのデメリットについても簡単に見ていきます。
予想外のアクシデントに対応しづらい
ガントチャートは、プロジェクトを進めていく前にすべてのタスクや工数などを決めてしまうため、予想がいのアクシデントに見舞われたときに大変苦労します。もう一度ガントチャートを組みなおして、タスクの振り直しをして、それから…と明らかにマネージャーやチームメンバーにかかる負担が大きいのがわかるかと思います。
開発手法の変化に伴う、時代遅れ感
また開発手法もウォーターフォールからアジャイルへと変化をしてきました。それに伴いガントチャートが使われることがだいぶ少なくなってきたと聞いたことがあります。それよりもアジャイルの開発手法に対応するためには、タスク管理などの機能が備わったツールのほうがよいそうです。というのもアジャイルの開発手法は、PDCAのようにプロジェクトに必要なタスクや問題点をタスク化して、それをクルクルと処理をしていくことで回っていく手法です。そのためガントチャートが使われなくなるのも納得できますね。
ガントチャートの作り方
さてメリット・デメリットについて確認ができたところで、実際にガントチャートをどのように作るのかについてみていこうと思います。ガントチャートを作成するにあたって様々なツールがあるとは思いますが、今回はGoogleのスプレッドシートを使ってガントチャートの作り方についてみていこうと思います。
まずガントチャートを準備するためにスプレッドシートを開いてから、アドオンというところからアドオンを取得という欄から、「ProjectSheet planning」もしくは「gantt」と打てば、おそらく簡単に出るかと思います。そしてアドオンを有効にして、新しくプロジェクトを作成してください。おそらく下記のような状態になると思います。

ガントチャートを作っていく前に
さてガントチャートを作っていこう! と実行する前に、もう一つ下準備をしなくてはなりません。それがタスクの細分化、いわゆるWBSと呼ばれるものです。
WBSとは、プロジェクトを遂行に導くために必要な手順を、細かくタスクとして落とし込むことです。またタスクとして落とし込むと同時にそれがどれくらいの比重・工数になるのかも、つけておくとあとで整理しやすいですね。
ガントチャートの例を作る際のゴールはよくカレーライスを作成が多いのですが、今回はそれに対応して「肉じゃが作成」にしたいと思います。あまり料理をしないので、調べながらWBSを作っていきたいと思います。
実際にガントチャートを作る
さて工程が間違っていたらあとでお問合せかtwitterで教えていただけると幸いです。下記のようにWBSを作りました。

本来は日付ではなく分数などで表すべきだとは思うのですが、直すのが手間だったので、今回は日付になっていることをご了承ください。また比重の覧に関しては、自分で作りやすいように足してしまいました。
実際WBSを作るのが難しく、どのような作業があるのか、またどれくらいの比重になるかを判別するのに時間がかかりました。WBSを作ったタイミングで自動で色を付けてくれたので、簡単にガントチャートを作ることができました。重要なのでもう一度言いますが、ガントチャートはWBSさえしっかり作ることができれば、だれにでも作成は可能です。おそらくWBSを作る際の間違いとして、比重、つまりそれにかかる工数を計算することができていないでしょう。そのためプロジェクトに遅れやトラブルが生じてしまうのは無理はないでしょう。WBSの作り方については、今後詳しく解説をしていきたいと思います。
またガントチャートは自分でアレンジすることが可能なので、担当者なども足してあげるとより作業しやすいガントチャートが出来上がるのは間違いありません。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
ガントチャートの基礎の部分の理解はできたでしょうか? 実際私自身も1度か2度ほどしかガントチャートを使ったことがなかったので、ドキドキしながらこの記事の作成をしていました。作ってみた感想としては、意外と簡単に作れてしまうと思いました。ただ同時に今回は簡単なプロジェクトでしたが、大きくなればなるほど、プロジェクトマネージャーの手腕が問われるとも思いました。ぜひガントチャートの基礎を知って応用していってください。
